技術士事務所って必要か?

HPを立ち上げて間もなくサイトを見た恩師から連絡がありました。 ”一般の人は技術士って何なのか多分わからないので、どんな資格なのか説明した方が良いのでは?” というアドバイスでした。後日、事務所紹介ページに説明文を追加し、関係先のリンクも貼りました。気がついた方もいるかも知れませんが、技術士の説明はそちらを参照いただければと思います。

そもそも技術士というのは高度な専門性が必要であるにもかかわらず、医者や弁護士とは違い業務独占資格ではありません。要は、この資格がなければできないという業務がないのです(建設部門には一部存在しますが)。残念ながら、雇用する側、依頼する側(すなわちお客さま)が ”この業務を行うには技術士資格が必要です” と規定しない限り、業務上、資格自体が効力を発揮する事はありません。まさにこの事が世間に認知されない要因です。さらにいうと、認知されようがされまいが、この資格自体、必要とされていないのが実情ではないでしょうか? 技術士事務所に駆け込む事態というものが、イメージし難いのです。いくら国がその高い技術力にお墨付きを与えようが、必要とされなければ生業としては成立しません。難しい国家資格(R3年度の合格率は1、2次掛け合わせると3.6%)を取得したという自己満足で終わってしまいます。自己満足に足る難しさかも知れませんが、”自分が身につけた高度な技術力を必要としているお客さまに届け、社会の発展に貢献したい” というのが大半の技術士のモチベーションではないでしょうか?

ここでよく考えてみて頂きたい。国が与えるお墨付きは、これからの社会にとって、間違いなく重要なものとなります。労働人口の減少と、働き方の変化により、これからは雇用する側、依頼する側(お客さま)がもっと活発に、タイムリーに、躊躇せず、得たい技術、情報を求めるようになります。コングロマリットでさえ、今そうならなければ、発展しないばかりか世界から取り残されてしまいます。すでに、頼めるものはどんどん第三者に頼み、アウトソース、サブスクで事業効率を追求する時代です。そう、社外技術士も自社のリソースと考えれば良いのです。技術士事務所は、それを生業とすることに国がお墨付きを与えている訳ですから、お客さまにとっては第一の選択肢(受け皿)になり得ます。人を育てる(時間とコストをかけて人に知識を貯める)のではなく、知識、情報は必要な時に調達するのが効率的、効果的です。そう考えてみると、自社で貯めておかなければならない知識、情報、知財維持にかかる費用がいかに少なくて済むかお分かりいただけるかと思います。私自身もまた、技術士の社会責任を意識して、良い受け皿になれるよう日々研鑽、精進して参りたいと思っています。

以上、今回は技術士事務所の必要性は間違いなく存在する。それもFirst Choiceとして存在するという、自分なりの結論を紹介させて頂きました(私見です)。