ウクライナ危機の行方
技術者であれば誰でも知っている発明創出ツールにTRIZというものがあります。ロシア(旧ソ連)で生まれたこのツールは、時代の流れに沿ってアップデートを重ね今でも使われ続けています。ロシアといえば今は良いイメージを持てない状況ですが、昔は科学技術の分野でも米国と肩を並べるほどのプレゼンスを発揮していました。Gagarinの人類初の有人宇宙飛行もそうですし、私も材料力学の教科書はTimoshenko著(ロシアの物理学者で米国に帰化)だったので、彼の国の科学技術力にはそれなりに敬意を払っていました。そのロシアが今の状況に至るとは。繁栄も衰退も、一握りの人間の思い次第ということなんでしょう。ウクライナでの戦況が伝えられる度に、つくづく科学技術の使われ方に無力な科学者/技術者の性を痛感させられます。
前置きが長くなってしまいましたが、ブログのネタがないのでTRIZの矛盾マトリックスを今のロシア軍の立場で使ってみました。すなわち、「消耗の激しいロシアは、こう着状態にある戦況をどう打開すべきか?」をテーマに、良化パラメータを静止物体の面積(軍事侵攻拡大)、悪化パラメータを移動物体の使用するエネルギ(弱体化)とすると、矛盾マトリックスからNo.35,19,13,28の発明原理が得られます。No.35パラメータ変更から「局部的な戦闘を避ける、戦い方を変える」、No.19周期的作用から「断続的な攻撃へシフト」、No.13逆発想から「攻撃をやめ守りに切り替える、究極には敗戦を選択する」、No.28メカニズムの代替から「別種類の兵器の使用」などが示唆されます。
なんとなく今の戦況が透けて見えませんか? 今の状況で戦後を見据えた終戦に向かうには、No.13逆発想から得られた「敗戦」を選択すること。すなわち、侵攻した全領土を自ら手放し終戦に向かうことくらいしか解はありません。これ以上弱体化し、孤立化も進むと立ち直れなくなるばかりか、どこかの国の属国としてしか生きのびる術はなくなります。今、終止符を打つことができるのはロシアだけなのですから、賢明な判断を願いたいものです。 ではまた。。。