ドイツの街歩き:移民の旅立ち(Bremerhaven)
ドイツで港湾都市というとまず頭に浮かぶのが、大都市Hamburgか、Bremenですかね。でも両方とも川沿いの街なので、たとえば日本の横浜とかに相当するのは今回の訪問地Bremerhavenでしょう。と、勝手に思っています。その昔、アメリカに渡った移民の多くはこの街から旅立ちました。Dresdenからは結構遠いのですが、ドイツの港街を見てみたくて長距離ドライブを敢行しました。日帰りはキツイし、ローカルフードをビールと楽しむため、一泊です。
港周りは再開発により目新しい建物ばかり目につきます。この一帯に、レジャー施設や博物館が集中しているので、全て徒歩で移動可能。観光客には助かります。でも、後で紹介しますが、それぞれが馬鹿にできません。中身が濃くて、じっくりと楽しんでいると相当な時間を費やします。なので宿泊をお勧めします。まずは駐車場に隣接した動物園から見てみましょう。
岩をくり抜いて展示スペースを配置するなんとも珍しい動物園です。海が間近に感じられるのも新鮮。と言っても、動物園自体はこじんまりとしていて、すぐに見終わってしまいます。シロクマ、アザラシ、ペンギンなどがメインなので、水族館に近いかもしれません。シロクマが間近に見られたのが収穫ですかね。
動物園を出てみると、ガイドブックに載っていた帆の形のビル、多分この街のランドマークがドーンと聳え立っています。展望台があるみたいなので、とりあえずチケットを購入し登ってみます。 おー、すごい眺望! まさにガイドブックに載っていた景色がそこにありました。ずーっと遠くまで見渡せます。眼下に目をやると、港の配置も手に取るように分かります。 あれ?U-Bootが係留されていますね。これは行ってみなければ。
上から見えたU-Bootは博物館として公開されていました。私以外お客さんはいなかったので、待ち時間なく入場できました。艦内は思っていたより狭く、潜水艦乗りは大変だろうなと、関心しながら、機関室、司令室、魚雷発射室と見て回ります。途中はハッチが設けられているので、かがみながら通り抜けなければなりません。潜水艦をじっくりと見学したのは初めてだったので新鮮でした。実は、この後私はU-Bootの展示を何度も見ることになるので、潜水艦の中にどういう設備と部屋があるのか悟ることとなり、どの潜水艦も似たようなものだと理解するのです。
次はSchiffahrts museum(海洋博物館)と Auswandererhaus(移民センター)に移動します。ここは衝撃を受けます。当時の移民の状況、すなわち乗船からアメリカ到着までを順を追って体験できるのです。視覚的な展示だけではなく、音や匂いまで再現しています。要は当時のリアルを体験できます。こういう展示の仕方は日本ではあまりお目にかかれません。呆気に取られ、博物館を後にしました。もう夕方、そろそろホテルにチェックインして夕飯に出かけましょう。
超安いホテルをとったせいか、ナビを見ても位置がよくわからず、住宅街をグルグル探し回ってしまいました。やっとの思いでたどりついたホテルは、小さな部屋にベッドのみ。トイレ、シャワーは共同でほんと寝るだけの宿ですね。とりあえず、夕食に出かけます。
賑やかそうな通りに出ると、時間も早いのに、気持ちよさそうに飲み始めている人たちがいます。雰囲気からすると地元料理が食べられそうなので、ここに決まり。風が気持ちいので外のテーブルで夕食としましょう。お奨めを聞いて、出てきたのがこれ。牛のホイル焼き+コロッケです。本当にローカルフードかどうか怪しいのですが、肉がホロホロと柔らかく、美味しい。Weizenとの相性も抜群で、十分楽しめました。外はまだ明るいので、酔い覚ましに通りを散策してホテルに帰りました。
翌朝、Klimahaus Bremerhaven 8° Ost(気象博物館)を目指します。気象博物館? さして期待はせず、入館してみましたが、これがびっくり。昨日の海洋博物館・移民センターに負けじ劣らず、文字通り五感を刺激されます。ここBremerhavenと同じ経度=東経8°上に位置する場所の気候を体感できる施設で、子供はもとより大人も楽しめます。アフリカの砂漠からサモアの熱帯、アラスカの極寒まで景観、温度、湿度を現地の映像と共に体感できます。私が気に入ったのは、砂漠。マットが設置されており、灼熱の太陽の下、寝転んで砂漠の雰囲気を楽しむことができます。しばらくここで寝転んでいました。暑かったけど、なぜか心地よかったです。
ランチにはまだ時間があるので、港を散策。大きな遠洋漁船が係留されており、よく見ると博物館として展示されているようです。まさに漁船そのもの。国は変わっても、構造は同じなんですね。操舵室から機関室、休憩室と一通り見て回り、小一時間楽しむことができました。潜水艦もそうですが、船を見るとなぜか中を見たくなるんですよね。技術者だからという訳ではないですが、中の構造がどうなっているのか、この制限された空間の中で部屋がどう配置されているのか、船員になったつもりで思いを巡らすのが好きなんです。まあ、そんなことはどうでも良いですが。
ランチは近くのモール状の建物の中、料理の写真を見て店を決めました。小エビの卵添えみたいなものが美味しそう。食べてみましたが、まあまあ、見た目通りの味です。運転するので、今回はAlkoholfreiで済ませます。一息ついたところで、さあDresdenまで700kmのドライブ、ゆっくり帰るとしますか。。。
日本人には、あまり知られていませんが、見どころ満載のBremerhavenでした。海洋博物館・移民センターと気象博物館は一見の価値ありです。ドイツ訪問の機会があれば、ぜひお楽しみください。今回は、調子に乗って少し長くなってしまいました。 ではまた。