品質月間に思う:設計不良と製造不良
もう10年以上も前の話です。私が担当していた製品に品質問題が生じ、各部署集まり対応を協議していた時のことです。まだ問題が生じたばかりで、原因もはっきりしません。全く不謹慎な話なのですが、問題が生じるとシュンとして黙り込むわけでもなく、なぜか活気付いて(殺気だって?)、意見が交錯。その場を仕切っていた品質部門のA氏が、” よしこの場は俺が裁判官だ。設計も製造も言いたいことを言ってくれ ” みたいな発言をしました。要は、" 設計不良か製造不良か俺が裁いてやるよ。" と言いたかったみたいです。
紛糾しますよね。” 何様のつもりだ、品質を保証したのは誰だよ。” という話です。品質問題が起これば、原因を明確にして対策を行います。通常業務があるし、大体が最優先で行うことになるので、誰もやりたがりません。なので、原因の押し付け合いに発展しがちです。
この傾向を強く感じたのは、海外に駐在していた頃です。面倒なのは、まず問題発生段階で、絶対に自分の非は認めません。性格も年齢も職歴も立場も関係ありません。根拠をかき集め、まずは徹底的に主張します。これはこれで良いのですが、品質問題を解決する際は仲間意識が本当に重要ですよね。いつも、そうじゃなくて…という説明から始めなければならないので、原因究明が本当に面倒。
そもそも原因が分かっていない段階で、設計が悪い製造が悪いなんて言えません。そして大体の問題が複合要因で発生しますから、原因も一つではないのです。つまり設計不良でもあり製造不良でもあるのです。FMEAに抜けがなければ設計的にも、製造的にも防げていたかもしれません。品質保証部門が設計内容及び工程を保証できていれば流出しなかった問題だったかもしれません。なので、私は設計不良だとか製造不良だとか決めつけるのは絶対にやめようと言ってきました。極端な話、まあ実際にもよくある話ですが、設計要因で発生した問題でも工程変更で対策したこともあるし、その逆もあります。なので、決めつけること自体意味がないんです。
問題が発生したら、とにかく大局的に対処することが重要になります。解決策の選択肢を自ら減らしてしま宇野で、少なくとも問題解決の取りまとめ者は、そうしなければなりません。" 俺は裁判官だ " などと決して言ってはいけません。今回の事例は特殊ケースかもしれませんが、品質問題の早期解決には何よりもチームワークが大切という話でした。