アフターマーケットショー

今月、3月7日に東京へ行く用事があったので、国際オートアフターマーケットEXPO2024なるイベントを見学してきました。自動車部品を設計してきた者として、この領域はすごく興味があったんです。っていうのも、製品を開発して立ち上げることよりも、製品を終わらせることの方がずっと難しいことを身をもって知っていたからなんですが。。。それにしても、最近はビッグサイトよく来るなあ、何回目だろう?

自動車部品って、生産終了後一定期間(通常、あるモデルが生産終了しても、10年とか15年とか)はメーカに供給義務があるんです。この間、生産数の激減、サプライヤーさんの撤退、環境規制対応、開発当時の技術者の不在、生産ラインの整理などなど、次々と湧いてくる課題に対処しながらやりくりして生産を継続しなければなりません。生産継続のため様々な工夫が求められるんです。で、どうあがいても生産不可能な場合は、リビルト品(修繕品)を供給する部隊が登場します。今回のEXPOの出店の半分はこの業界と思われます。

自動車部品メーカにも、サービスパーツ供給部隊は存在していますが、問題(忘れたころに入る注文)が発生するたび、まずは情報厚めに奔走します。オリジナルの設計根拠や製造根拠、品質保証手段を入手する必要があるからです。つまり、たくさんの制限がある中で、ものを作り上げなければならず、同等の品質を確保するのは並大抵のことではないのです。技術者の腕の見せ所といえばそれまでなんですが、この業界では、どんなスキル、ノウハウを持った技術者が活躍しているのか、どんな作り方で品質を確保しているのか、すごく興味がありました。

ところが、当日の打ち合わせが思いのほか時間を要し、EXPO終了30分前に会場に到着するというまさかの事態となってしまいました。あたふたと受付を済ませ、会場に入ると皆さんブースの後片付けを始めてるじゃないですか。まだ、終了時間前なのに〜〜〜。でも、すぐに納得。会場から聞こえてくる中国語の嵐。中国の方は終了時間前でも、人が来なければ躊躇なく片付けを始めます。そんなもんです。そうはいっても、せっかく来たので後片付けを始めているブース(といっても殆ど全てのブース)の間を早足で、隈無く見て回ります。

そうなんだ、参加しているメーカのほとんどが中国メーカなんですね、この業界は。初めてこのEXPOに来てみたので新鮮な驚きというか、納得というか。よく考えると中国メーカの得意分野ですよね。そんな中、某トラックメーカさんのリビルト部隊に話を聞かせてもらいました。やはり、まず初めは情報集めなんだそうです。開発部隊、設計部隊、評価するにも研究所まで巻き込んで品質を作り込んでいるそうです。新品と同等の品質を確保するのは、正規メーカであっても大変なことなんです。

私も経験がありますが、自分が設計した製品と瓜二つの模倣品は世の中にでまわっています。でも、私が調べたところ、とても品質を云々するレベルのものではありません。要は、ユーザの自己責任で使う分には、いいのかもしれませんが自動車部品なんて、製品によっては命が関わりますからね。どんなメーカが作っているのか、よく考えて、心配な時は専門家に相談して使うことにしましょう。まあ、日本ではあり得ないことかもしれませんが。。。模倣品(品質も模倣したもの)なんて、そう簡単に作れるものじゃないですよ。馬鹿にしてるのか〜って、技術者のプライドに火がつき、ブツブツ言いながら会場を後にしました。

でも、別の意味で面白そうなので、来年また来ますけど。