作る技術と使う技術
子供の頃いつも何かを作っていました。完成品に自分を重ねて、その世界に浸るのが好きでした。例えば、船を作るだけではなく、浮かべて動かして、遊んで満足するという。。。子供たちだけに許される世界。そう「〜ごっこ」という類のものですが、何かを作って、動かして、兄弟、友達を道連れに遊んでいました。母親に「もうご飯だからいい加減やめなさい」と言われるまで。
ゲームもよく作って遊んでいました。手作りで、ルールも決めて。。。なんだろう、買って楽しむゲームとは違い、自分で作る世界に想像を膨らませて、また改良して、より巧妙にして、ルールも如何ようにもアレンジして。。。今の子供達にも、そういう経験させてあげたいですね。
今は、技術士会の理科教育イベントで実験や工作は教える機会はありますが、子供たち自身がゲームを考え、作って、ルールも決めてみんなで遊ぶなんてどうだろう。そうすると、想像力も、協調性も爆上がりするはず。今は余裕ありませんが、絶対近いうちに実現させたいと思います。
そういう訳で、まあ貧乏人の僻み根性もあるのだろうけど、、、当時流行ったTVゲームとか全く興味が湧かず、触ることすらありませんでした。触れば好きになっていたかもしれませんが、他人が作った土俵で踊らされているような気さえして、心から楽しめるとは思えなかったんです。ただのゲームなのに素直じゃないですよね。
でも今考えてみると、根っからのハード屋の私としては、ソフト屋が簡単に(もちろん実際は全然簡単ではないのですが)バーチャル世界を実現しまうのが羨ましかったのです。もっと素直な子供の頃、プログラミングに出会っていれば、作るだけでなく動かすことも大好きな私は、間違いなくこの分野に没頭していたに違いなく、その後の人生も変わっていたかも。
このご時世、何を作るにしても技術者一人で完結するものはありません。完成するまでにはさまざまな人が関与します。そして完成したものを使う人がいてはじめて価値が生まれます。①ものを作る技術(ハード屋)、②使う技術(ソフト屋)、③享受する人(消費者)です。この中で、②は、ハード屋が作ったものをうまく動かし、また消費者の欲求を反映させ、生み出される価値に決定的な影響を与えます。まさに現代社会が求める所以ですよね。多くの子供たちもITエンジニアに憧れます。
ITエンジニアというとPCの前に座って、何やら世間に注目されるカッコいい職業という印象を与えがちですが、実際大変なことはなかなか伝わっていないような気がします。私は、ソフト屋と一緒に製品開発をしてきたので、その大変さというか、悲惨さも知っています。なので、決して否定する訳ではありませんが、子供たちには憧れる前によく何をしているのか知ってほしいと切に思います。働き方も変わったので、今はどうかわかりませんが。。。
でもよく考えてみてほしいと思います。私は、ソフト屋が処理して動かす対象はあくまでもハードで、それこそが技術の源泉だと思っています。なので、これからも私は技術を使う側、享受する側ではなく、作る側、それもハードを作る側でいたいです。
取り止めのない話になってしまいました。親戚の子がこぞってIT関連の仕事につきたいと話していたことが頭から離れず、ついつい考えてしまいました。。。