屯田兵屋跡で納得

今年のGWは、気温が高く、札幌でもTシャツで過ごせました。5月2日に法要があったので北海道に帰省していましたが、ぽかぽか陽気だし、時間に余裕があったので琴似にある屯田兵村兵屋跡を見てきました。本当は、この近くにある屯田歴史館資料室にも行きたかったのですが、資料室はこの日公開されておらず、残念ながら兵屋跡だけの見学となりました。やはり、北海道で生まれ育った身としては、先祖がどのようにこの地を切り開いていったのか、興味がありますからね。

地下鉄東西線の琴似駅を出てすぐのところに兵屋跡はありました。ありがたいことに、無料で見学できます。客は、自分以外には誰もいません、お陰様で、思う存分楽しめました。まず目を引くのは、土間に並べられた数々の農機具やら、さまざまな道具類。当時の生活が生々しく伝わってきますよね。水瓶とか、" 小さな頃、実家にもあったなあ " なんて思いつつ、そう遠くない過去に思いを馳せていました。

屯田兵が開拓に入ったと言っても、畑を耕したり、木を伐採していただけではないんですね。兵屋を見ると、鉄砲をかける棚とか、命懸けで入植した様子がひしひしと伝わってきます。一方、その傍らには奥さんが使っていたんでしょうか、機織り機も置いてあります。与えられた農作地を耕しほぼ自給自足で生活していたんでしょうね。

当時の道具、器具を見ていると、当たり前のことですが動力はほとんどが人力だったことが分かります。技術者としては、一つ一つ何に使うものなのか、どうやって使うのか、ついつい考えてしまいますよね。はて?これらの道具、器具類は誰が設計して、誰が作ったんでしょう?流石にそこまでは解説していませんでしたが、専門家には違いありません。例えば、立て掛けてある鋸(のこ)の幅や、形状、取手の取り付け角度、技術者ならすぐに絶妙であることが分かります。

臼(うす)と杵(きね)もよく見ると興味深いです。ずっと昔から使われているものですが、杵に付ける柄(つか)の位置はなぜあんな上なんでしょう?臼に振り下ろした際に、不安定だよね?杵の重心を考えたら杵の中心より下側に柄を取り付けた方が、振り下ろす時は安定するんじゃないか?でも、少し考えると、振り下ろす時は力を込めて振り下ろすのではなく、杵の自重で餅をつくのだと悟ります(多分)。そうか、であれば柄は上側にあったほうが、杵の姿勢は常に下方向を向き安定するのか、そういうことか。

いずれの道具、器具も、いかに作業効率を考えて部材を設計しているかが見て取れます。良いものを作るには、良い道具が必要。そして良い道具とは、効率良く作業ができて、使いやすい道具のこと。私がいつも言っている問題解決ツールと同じじゃないか。使い勝手が良くなければツールじゃない。誰もいない兵屋のなかで、" だよねー "って、1人で納得していました。

匠(たくみ)という言葉は、できたものに使われることが多いですが、道具自体にもまさに匠が感じられますよね。日本人に脈々と受け継がれている(と思われる)この感覚こそ、大切に守っていかなければいけないものだと改めて納得しました。電動化、自動化が進む現在でも、機械屋はこの感覚を研ぎすまさなければなりませんね。 さて、私も頑張らねば。。。