ドイツの景色:草原と教会(Wies)

あたりは緩やかな丘が連なる草原、その中にポツリと白亜の教会は佇んでいました。色々とドイツ国内を巡っていますが、やはり晴れの日ばかりとは限りません。教会に近づくにつれて、霧が濃くなり、ついた頃はすっかりと霧に包まれてしまいました。München方面からFüssenに向かう途中、どうしてもこのWieskirche(ヴィース巡礼教会)が見たくてWies(ヴィース)に立ち寄りました。

キリスト教にはいくつもの奇跡が登場しますが、ここも奇跡がきっかけで人々が巡礼に訪れるようになり、今では世界遺産にも指定され、世界中に存在が知れ渡りました。奇跡というのは、農夫が譲り受けたキリスト像が血の涙を流したというもので、噂を聞いた人々が祈りを捧げに訪れるようになり、ついには教会まで建設する運びとなったものです。

この教会は、こんな(と言っては失礼ですが…)田舎の何もない場所に建てられていますが、白亜でシンプルな外観とは打って変わり、中は芸術性に富み、その素晴らしさに心を奪われます。煌びやかな祭壇は言うまでもありませんが、目を見張るのは天井画。鮮やかな色彩と遠近感に圧倒され、天使たちと一緒に天に誘われる錯覚さえ覚えます。天に突き抜けるような空間構成と、強めのコントラストが他の教会と一線を画している要因でしょうか。とにかくこの天井画には衝撃を受けます。

プロテスタント系教会の方が好みではあったのですが、ここまで品のあるロココ調(嫌味のないバロック?)の内装を見ていると装飾に関しては歴史を重ねた教会には敵わないのだと認識を新たにします。偉そうなことを言っていますが、小生はキリスト教信者でもないし、芸術家でもありません。でも、この世界観には心を奪われてしまう自分がいることも確かです。なぜですかね、妙に心が落ち着くんですよね。まあ、何が自分を惹きつけているのかは、よくわかりませんが。

草原の中に立つ巡礼教会、一見の価値ありです。。。