技術者がみる業界再編
12月24日、ホンダと日産の経営統合が発表されましたね。
長年、両社とお付き合いさせて頂いた身としては、驚きを覚えると共に納得の結果となりました。
両者の社風は全く異なりますからね、一昔前であれば、100%あり得ないくらいの違いです。技術者から言わせれば、本田宗一郎氏の哲学を脈々と踏襲し、真っ白の作業服で熱く仕事をするホンダ、、、
方や、栄光の名車を次々と世に送り出し、業界の中でも特に洗練された印象が漂うエリート軍団の日産、、、
まともに考えれば全く事業に対する向き合い方も、具体的な仕事の進め方も異なる両社が一緒になることなど誰が想像したことでしょう。どんな力が働いたか知る由もありませんが、経営統合に向け両社は走り出しました。。。
とは言えです、時代と共に両社の個性も薄められてきたのも確か、すなわち生き残るためには個性を主張してばかりはいられません。会見に臨んだ社長からは、そんな印象を受けます。技術者としては、なんとも寂しい時代がやってきました。
今や主流となりつつあるEV業界のトップを走るのはBYD、追従するのはテスラ、共に非自動車メーカからの新規参入で、既存のカーメーカーは一気に水を開けられました。CASE(Connected、Automated/Autonomous、Shared&Service、Electrification)を牽引してきたEVにとって重要となるのは2つの技術とパフォーマンス。電費、すなわち、一回の充電でどれだけ走ることができるか、、、という技術と、モビリティとしての車両技術、車体制御技術。後者は自動車会社が長年蓄積してきた技術です。逆にいうと新興EVメーカーのウイークポイントです。
従来の自動車メーカーは、まさにここでパフォーマンスを強調したいのでしょうが、こちらは表現が難しいですよね。多少のメリットは打ち出すことができても、なかなか良さは伝わりません。Saas(Software as a Service)前提の使い方となると、なおさらです。
であれば、このEV業界で生き残るためには、電費で差別化するしかないという結論になります。もはや、社風どうのこうのとか言っている次元じゃないですよね。
電費を改善するには、バッテリーのエネルギー密度を上げるか、消費を減らすかです。前者は技術の目が色々と話題になりますが、後者については今ひとつ業界としての流れが定まっていないような気がします。まあ、新興EVメーカーに基本的な特許が抑えられているのかもしれませんが、この分野でも革新的な技術が望まれています。そう、各社これからは熱マネージメント技術で生き残りをかけるしかないのです。
自動車技術会の会誌を見ても、この分野の発信が少ないことが本当に残念です、、、経営統合に向かう2社には、まさにこの分野で主導権を握ってほしいものです、、、2社には、長年運命を共にしてきた日本の宝(サプライヤー)が付いているのですからね。
ではまた。。。