クルマのスマホ化?

クルマがスマホ化するという話、最近よく耳にしますよね。

業界ではSDV(Software defined vehicle)というのですが、クルマに搭載された各システムを統合制御する車載OS。それをOTA(Over The Air)でアップデートすることで、車の価値を維持し続けるというものです。EVとの相性が良いこともあって、テスラやBYDなど新興メーカーが先行し、すでに市場投入されてます。

さてこのSDV、具体的には何ができるのでしょうか?

先行する2社の機能を覗いてみました。

まずはテスラ、
・駐車中や、乗車前の空調制御(ドッグモードにすれば愛犬を乗車させたままにもでき、周囲にも状況を表示)
・ドライバーが離れたときの自動キーロックや、監視、PINコードによる始動やグローブボックスの開錠制限
・ちなみにテスラにはスタートボタンやシフトレバー、ウインカーレバー、ライトレバーがありません
 などなど…

BYDはというと、
・空調の空気清浄機能
・各種機器を音声操作
・大型液晶パネルが回転
・夕方になると自動で間接照明が点灯
・操作系はデザイン性に優れ、人間工学を考えた形状となっている
 という感じ…

もちろん、独自技術である自動運転や熱マネ制御、安全機能、充電/電費制御は織り込み済み。車載OSをアップデートすることで、それぞれの機能を最新の状態に維持したり、あるいは新機能を追加したりできるようです。まさにスマホ化ですよね。

でも、どうなんでしょう。ワクワクしますか?演出は凝っているみたいなので、実際に乗るとワクワクするのかもしれませんが、、、" 100年に一度の変革 " というには、いまいちインパクトに欠けるような気がします。

SDVという考え方自体は確かに大変革です。問題は、SDVで何をするかです。スマホ化といえば、それらしく聞こえますが、カーメーカー各社からは具体的に何をしたいか、どんな夢を見させてくれるのかさっぱり聞こえてきません。

スマホ化といっても、スマホ自体、ハード機能(ニーズも)はそろそろ飽和状態で、サービス提供側のアプリだけどんどん増えていっている状況です。クルマをスマホ化するのであれば、快適にした室内空間と、大きな液晶画面があれば事足ります。そんなところで十分でしょう。

先日、ネットを見ていたら、経産省から発信された記事を見つけました。
” カーメーカーには、これからは従来の車とは全く異なる技術力と発想力が求められるので、IT企業や、高い技術、発想力を持つプレイヤーを取り込む、オープンな開発環境を構築することが大事になる ” 、、、同じ趣旨のことをカーメーカーも発信しています。 ん?、誰かが、革新的なアイデアをクルマに持ち込むことを期待している?

単なるスマホ化ではなく、ハードと連携した革新的な機能というのは、クルマ屋でなければ実現できないと私は確信しています。なので、いま、レガシーメーカーと揶揄されていますが、クルマ屋には頑張ってほしいものです。SDVで実現するのもいいでしょう。とにかく早く、ワクワクする夢を我々に見せてほしい、、、

その夢が、" 100年に一度の変革 " の本当の姿であることを期待したいです。とにかく馬車から自動車へのパラダイムシフトと同じレベルの変革が、単なるスマホ化でないことを祈りたいです。寂しすぎますからね。

少し長くなってしまいましたが、ハード技術者の想いでした。

ではまた、、、