ドイツの景色:山あいの小さな湖(Titisee)

数年前、原価低減の要請のためドイツにある部品メーカーを訪問しました。近くの大きな町といえば、Freiburg im BreisgauそうFreiburgです。今年、サッカーワールドカップで大活躍した堂安選手が所属するクラブの本拠地です。そこから南東に30kmくらい離れた田舎にやってきました。この加工メーカー(実は業界では有名)とは取引があったのですが、訪れるのは初めてです。

まずは挨拶を交わし、”いいところに工場を作りましたねー、素晴らしい環境じゃないですかー” などと持ちあげ、というか実際羨ましかったのですが、雑談をしていました。すると、目の前の社名が入っているコーヒーカップに目が止まります。” へー、このカップ、センスがいいですねー。もし売り物だったら欲しいくらいです” などど言いながら原価低減の打合せを始めました。図面を広げ、あれこれ折衝しても、工場を視察しても、結局はそんなに成果は上げられず、帰途につきました。悲しいかな成果といえば、記念に戴いたオリジナルカップくらいです。よほど欲しそうに見えたのかな。

宿にチェックインしたあと、夕食まで時間があるので近くのTitiseeを訪れました。山あいの小さな湖です。というか沼と言ってもいいくらいですが、ひっそりと静まり返っています。周りは公園になっていますが、夕方なので人もまばらです。しばし散策していると、今日の打ち合わせが頭をよぎります。多分、思ったように話が進まなかったからでしょう。

欧米のメーカーの利益率は、概して日本メーカーよりも高いです。価格戦略により十分な利益率を確保することが当たり前になっており、利益率は簡単に下げる訳にはいきません。今回の原価低減交渉も、外部の我々が提案するありふれた案はボツ。採用が決まった案は、結局メーカー側が提案したもの、発想転換による目から鱗の案でした。投資は伴いますが、数を確保できれば双方にメリットが生まれます。原価低減に関しては、一度決まった契約価格を変更するということなので、そもそも話が噛み合いません。彼らにとっては図面通り作れば、どう作ろうが勝手です。結局は、何か犠牲を伴って絞り出す原価低減案ではなく、メリットを生み出す案のみが受け入れられるのです。とはいえ、彼らも買う側になると相当えげつないですが。。。利益率確保のため必死なんです。お客さまは神様には変わりないですが、与える価値が価格じゃないんですね。価格戦略というのは売り方ではなく、結局は作り方なんですよね。。。。さあ、魅力ある日本製品を創造していきましょう! ドイツの景色から大分ずれた話になってしまいました。ではまた。