ドイツの街歩き:日本の運命を決めた街(Potsdam)
この夏、日本は戦争終結78年を迎えました。今の子供たちにとっては3世代、4世代前の話前の出来事で、戦争なんて想像すらできないことでしょう。我々の親世代ですら、子供の頃にかろうじて経験しているくらいです。ですから、現実社会にあって実感なんて湧くはずがありません。先の大戦を思うにつけ、いかに歴史を語り継ぐことが難しいか実感させられます。でも、史実として日本の運命は1945年7月26日、この地で決しました。暑い夏の終わり、当時の記憶に触れるためBerlin郊外の街Potsdamを訪れました。
目的地はもちろん世界遺産の一部にもなっているSchloss Cecilienhof(ツェツィリエンホフ宮殿)です。そう、あのポツダム会談が行われた場所で、博物館として公開されているんです。戦後処理について、敗戦国の歴史的建物の中で議論をすると言うのは、なんともえげつない気はしますが、戦争とはこういうものなんでしょう。勝てば、戦勝国の理屈でどうにでもなるという。。。
駐車場から歩いていくと、池や湖に隣接する広大な敷地の中に、趣のある木組みの館が目に入ります。チケットを購入し、中に入るのですが、チケットを渡すと、 ” どこの国からですか?” と聞かれます。どういうことか分からぬまま ”日本からです” と答えると、”おー、味方じゃないか” とえらく感激してくれます。ん? これは演出か? と勘繰らずにはいられませんでしたが、嬉しいような、後ろめたいような変な気分です。とりあえず中を見て回りました。中には、会談が行われた円卓が当時のまま保存されており、会談の雰囲気を肌で感じることができます。ここで、日本の運命が決まったと思うと、なんとも言えないやるせなさが込み上げてきます。ポツダム会談の会期中、裏では原爆実験の成功が伝えられ、のちにポツダム宣言を利用して原爆使用の正当性を主張するとか、どうなんでしょう。勝ち負けは存在しますが、正義はないですよね。二度と繰り返されないことを祈らずにはいられません。
せっかくPotsdamまできたので、ついでに有名なプロセイン国王の住い、Schloss Sanssouci(サンスーシ宮殿)に立ち寄ることにしました。眩いとはこのこと、絢爛豪華な宮殿は、天気が良いこともありキラキラ輝いています。
そして宮殿の前に広がる階段状の庭園が、これまた一見の価値があります。正面の噴水を背に、中央の道がまっすぐに、そう先が見えないくらい遠くまで続いています。なんて広大な庭園なんだろう。当時の栄華を予感せずにはいられません。しばし、噴水に腰掛け、呆気に取られていましたが、もう夕方です。感動を胸に、帰宅の途につきました。速度取締カメラの閃光とともに。。。