コンビニ弁当容器とTRIZの話
いつからだろう、コンビニの容器がこんな形になってしまったのは?スーパーの容器も、同じような傾向があります。久しぶりに今日の昼はコンビニ飯にしようと、出かけたのですが、底の盛り上がりがだんだんと露骨になっていませんかね。そもそも、ご飯の容器なのに、逆に反り返っているというのは、どうなんでしょう。食べずらいし、お客さんが量の少なさに気がついた時の落胆は、半端なものではありません。完全に容器の機能を放棄し、開き直っている感満載です。
ものによっては、食材に合わせ非常に凝った凸部を配置したり、やたら縁の部分だけ妙に高くしボリューム感を出したり、涙ぐましい努力に関心して、どんな人がこの形状を設計しているのかと思ってしまいます。こんなところに知恵を絞るより、他にやりようがあるだろうと。。。
でも、こんなときに発想転換を助けてくれるのが、実はTRIZです。技術者以外の人には、ほぼ知られていない問題解決ツールとは思いますが、理想的な解決案創出には欠かせません。以前ブログ(ウクライナ危機の行方)でも紹介した通り、技術課題だけではなく、実は社会問題など様々な問題解決に使えます。(簡単な使い方は、9/30の無料公開講座でも説明しますので、興味のある方はご聴講ください→ご案内はこちら)
という訳で、今回は、この残念なコンビニ弁当の容器問題(勝手に問題化しましたが)をTRIZの矛盾マトリックスで解決してみましょう!(マトリックスは、50種の発明原理をもとに展開するMatrix 2010を使います)
1. 矛盾問題
内容量を減らすと、しょぼく見えてしまう。
2. 対立属性定義
良化属性:内容量、 悪化属性:お客さんの満足感
3. パラメータ選定
良化パラメータ:静止物体の体積 or 重量、 悪化パラメータ:美しさ見かけ
4. 得られる発明原理(例)
・平らな平面を曲面にする。
・色の変化、ものの見え方を変える。
・局所的性質(各部を局所的に最適化、各部が全く反対に機能を実行できるようにする)
これらの発明原理から、確かに部分的に凸部を設けて見栄えを改善する、すなわち内容量を多く見せるという今コンビニでみられる解決策を導くことができます。
お分かりの通り、これはコンビニ目線の解決策です。悪化属性であるお客さんの満足感というのは、見かけではなく、実際に得られる満足感、食事の充実感のはずです。であるならば、悪化パラメータを美しさ見かけ → ポジティブな無形なもの(幸福、高揚感、充実感)に変えて再トライ! すると、こうなります。
4. 得られる発明原理(例)
・先取り作用(有用な作用を必要になる前に導入する、物体やシステムをあらかじめ配置しておき、最も便利なときと場所で動作できるようにする)
・強い酸化剤、熱膨張
・各部を局所的に最適化、各部が全く反対の機能を実行できるようにする。
・濃度や均一性、柔軟性の程度、他のパラメータを変える。
・静止から移動可能へ、固定から変動へ。
これらをヒントに、解決策を考えます。酸化剤とか熱膨張とかは、後から膨らますという類なので、あまり関係なさそうですが、胃の中に入ってから膨らむ食材を混ぜて、満腹感を得る方法を思いつくことができます。また、コンパクトさをあらかじめ売りにし、テーブルの上で食べるという固定概念を捨て、機動的な食事を生み出す。小さいがゆえの機能を探す。なども連想されます。つまり、以下のような解決策です。
※ 潔く、小さくなったことを全面に出し、メリットを強調してお客さんに訴える。
小さくしたメリットは、健康志向(ちょと少なめの量)、携帯性が増す(持ち運びしやすい)、話題性につながるなど様々。さらに技術者目線で言うと、コンパクトにすることで容器の剛性が増すので、薄くでき材料費低減につながります。行儀が悪いかもしれませんが、箸を使わずに食べられる容器に形状を変えられるかもしれません。おにぎりと弁当の中間的なイメージ? 握り潰せる容器なら捨てるのも楽。つまりエコ。食事をするお客さんにとっての充実感も爆上がり!(ちょっと大袈裟か)
そう、お客さんは、大きく見えてほしいのではなく、満足感を得たいのです。問題というのは、誰目線の問題として解くかで答えは変わってくるのが、よく分かりますよね。
このように社会問題の解決、頭の中のモヤモヤ解決にも、TRIZは使えます。つまり、技術者は勿論、一般の方でも使えます。どんどん使って頂けるよう、引き続き発信していきたいと思います。
ではまた。。。