ドイツの街歩き:若き聖女が眠る街(Marburg)

Die heilige Elisabeth von Thüringen(聖エリザベート)は24歳という若さで亡くなるまで、頑ななまでに弱者に寄り添い続けました。そして死後聖人に列せられた彼女は、カトリックにとどまらずプロテスタントからも崇拝され、今なお世界中の人々を惹きつけます。その生き様に触れてみようと教会を訪れました。場所は、前回紹介したFuldaの西、車で100kmくらいのMarburgです。

その教会、Elisabethkirche(聖エリザベート教会)は、街の中央を南北に流れるLahn川のほとりに建っています。今日は朝から天気が優れずいまいちの気分でしたが、なぜか教会の外壁を見ているだけで清々しい気持ちになってきます。有名な場所なので観光客が大勢いると覚悟してきたのですが、中に入っても人は数人しかいません。こういうところは朝早くくるに限りますね、時間をかけて雰囲気を味わうことができます。中には蝋燭が灯り、ステンドグラスから差し込む光と相まって、祭壇が浮かび上がります。彼女にまつわる品々を拝見した後、しばし椅子に腰掛け静寂を味わっていました。今まで訪れた中で一番悲しみを感じる教会です。彼女自身の悲しみというよりは、教会全体が慈悲で包まれているような不思議な感覚。。。さあ、教会を後にして街を散策してみましょう。

街を歩いて目に入ったのが道路脇にあるBrüder Grimm(グリム兄弟)の像です。誰もが知っているシンデレラ、白雪姫、赤ずきんやブレーメンの音楽隊などの作者ですよね。彼らは、マールブルク大学で法学を学んでいたそうです。街もおしゃれな場所が多く、いかにも学生の街といったところ。

小高い崖の上に城が築かれています。Landgrafenschloss Marburg(マールブルク城)ですね。ちょっと寄っていきましょう。坂道を登り切ったところに城があるのですが、ここからは街全体が一望できます。それほど大きくない街だということが分かりますね。眼下には先ほど訪れたElisabethkircheも確認できます。

城の中に入ると、礼拝堂や武器庫、そしてゴシック調の大広間を見ることができます。中は歴史博物館が併設されており、発掘された家具調度品や食器を見ることができます。

ゆっくりしすぎたか、城から出るともう夕方。学生さんが街に溢れてきました。今日は随分歩いたので、そろそろ帰らなければ仕事に差し支えます。Dresdenまでは約400kmの道のり、後ろ髪を引かれながら帰途につきました。

このブログを配信する11月17日は、実は聖エリザベートの命日なんです。人に尽くすことの意味を振り返り、ただただ誠実にことに当たりたいと思うばかりです。。。次回は、エリザベート繋がりでEisenach(アイゼナッハ)を紹介する予定です。  ではまた。